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認定製品インタビュー「アップサイクルかりゆしウェア」
認定製品インタビュー
「アップサイクルかりゆしウェア」

「アップサイクルかりゆしウェア」は未利用資源だったさとうきびの絞りカス、「バガス」を原料に、環境負荷の少ない生産工程と回収する仕組みを整え、循環性・持続性がある点が評価され、CHOICE! ZERO WASTE AWARD2021 の認定製品となりました。今回は株式会社Rinnovation代表の山本様に製品の生まれた背景や生産から回収までの仕組み、これからの展望についてお聞かせいただきました。

沖縄の原風景を、残したい

ー改めてこの製品が生まれた背景や想いをお聞かせください。

山本氏 (株式会社Rinnovation代表)

この製品は、ピーク時の3分の1程度に生産が落ち込んでしまった沖縄の基幹作物であるサトウキビの原風景を残したいという想いからスタートしました。私自身、観光系の地域活性化の仕事を前職でさせていただいており、コロナ前まで観光客が増加していた沖縄のポテンシャルを感じていました。ただ、限られた資源の中で観光産業開発のしわ寄せとなった産業の1つが農業だと思います。その中でもサトウキビ産業は、重労働で低賃金なこともあり、ピーク時から生産量も農家の方の数も半分ほどになってしまいました。沖縄にいろんな方が来ていただき、地域経済が発展するのは喜ばしいことです。しかし、沖縄にとって大事なものは次の世代にも残したい、という思いから2018年に株式会社Rinnovationを立ち上げ、地域創生、沖縄のサトウキビ産業をよくするための事業に着手しました。

山本氏 (株式会社Rinnovation代表)

ただ、世界では砂糖の流通が既に十分にされていますし、あまり貢献できることもないだろうと思っていた時に、バガスという存在を知りました。かりゆしの原料となるバガスは、サトウキビの絞りカスです。バガスはこれまで燃えにくいにも関わらずボイラーの中に投げ込んで処理されたり、一部肥料にされる程度にしか利用方法が確立されていませんでした。サトウキビは世界で一番CO2を吸収している作物ですが、燃やしてしまうとまたCO2が排出されてしまいます。カーボンニュートラルの観点ではそれでもいいのかもしれませんが、プラスアルファのことができればサトウキビ産業がさらに環境によい影響を与えられるのではないかと思いました。加えて、アパレル産業は大量生産・大量廃棄により環境負荷の大きい産業です。これを解決できればサトウキビ産業のブランディングにもなるという考えと、地域創生の想いから沖縄独自のウェアであるかりゆしを作ることに決めました。また、かりゆしは縫製業者さんが生きていくために大量に生産し、廃棄されるという背景もあったため、「必要な分だけ作って、着て欲しい」という考えがアップサイクルやシェアリングという仕組みを作る問題意識につながっています。

環境負荷の高い産業に、見えるやさしさを

本アワードは現代社会が抱える大量生産・大量消費、そして大量廃棄の問題を「捨てる」という行為から見直すため、「捨てない」ためのアイデアを形にした商品やサービスを選択し、ゼロ・ウェイストな社会をみんなで目指していこうという想いからスタートしました。

概略

審査基準には、大きく分けて原材料の循環性と、生産の持続性と日々の暮らしへの浸透性という3つがあります。その上で製品自体が廃棄されないような仕組みと運用がなされているか、原料から製造、回収のプロセスにおいて透明性への意識があるかが審査において重視されました。

ー本アワードの審査基準で重要な評価基準になりました、原材料・生産プロセス・回収の仕組みへのこだわりを改めてお聞かせください。

山本氏 (株式会社Rinnovation代表)

ー原材料について

サトウキビという環境への貢献度の高い農作物から出る副産物をアップサイクルすることに価値があると思っています。私たちは、1グラムでも多くのバガスをアップサイクルしたいという思いから、バガスの含有率を20~30%まで突き詰めました。それにより、バガスに入っている成分による消臭効果といった付加価値も得られました。

ー生産プロセスについて

生産プロセスに関しては、大量生産・大量廃棄に追随しないよう、できる限りサプライチェーンを日本国内で開拓しています。もちろん他国の経済に貢献することは重要ですが、近くで作れるならそれに越したことはありません。例えば無理にアフリカから何かを仕入れようとすると、大量のものを遠くから運ばなくてはいけません。日本で生産するとロットが小さく工賃が割高になりますが、和紙の糸は日本でしか作れないですし、ジャパンデニムは高い技術力を持っています。こうした強みをサプライチェーンに組み込めば、マーケットは日本でなくても環境意識の高い欧米地域に訴求すれば、ビジネスとして成り立つと思っています。現在は日本で生産していますが、ゆくゆくはこの仕組みを他の地域でも展開できるならば、OEMで展開することも検討しています。例えば、東南アジアのタイやアフリカなどサトウキビ産業に紐づく地域に展開ができたらいいですね。

ー回収の仕組みについて

オーダーメイドやシェアリングサービス、最低額保証の買取サービスといった私たちが行っている回収の取り組みは、できる限り製品寿命を最長化するために行っています。加えて製造工程でどうしても出てしまう糸くずや端切れも回収し、廃棄するものと一緒に炭に変え、その炭をサトウキビ畑の土壌改良のために活用することにも取り組んでいます。回収についてはトレーサビリティの観点から洋服にNFCタグを取り付け、気軽にトレース情報を見られるようにし、環境に優しい取り組みの可視化を目指しました。アパレル業界のような製造コストが下がっている業界では、これまで服をトレースするインセンティブがありませんでした。アパレル業界の問題解決、サーキュラーエコノミーを活用しどのようにトレーサビリティをとっていくかということは時間をかけて現在もディスカッションを進めています。現在はプロダクトパスポートという形で、服1着1着のサプライチェーン情報や、アップサイクルをしてくれる方々の情報を蓄積し、それを可視化できるような取り組みを進めています。

必要なのは、「着たくなる」と「着てわかる」

山本氏 (株式会社Rinnovation代表)

ー作る側の責任だけではなく、使う側の責任に対して思っていること

服を着る理由が「環境にいいから」という人はなかなかいません。それ以上にお得感や楽しさのようなユーザーにとってのメリットと状況を作ることが着てもらうために必要です。
そのために、沖縄を体感してもらうための各種体験クーポンの配布を行ったり、SNSで同じ趣味の人と繋がりたいという欲求に対して、エシカルな人と繋がりやすいようなUXデザインを追求したり、着てもらうことで楽しさと繋がりを与え、環境にも貢献しているという状況を作りたいと思っています。

たとえばビジネスや観光で来た方が「かりゆしを買いたいけど沖縄でしか着ないからもったいない」と考えて買わなかったり、逆に買ったはいいものの観光後には全く着なかったり、といった状況がありました。しかしこれは、かりゆしが悪いわけではありません。
着る側はファストファッションに代表される使い捨てのカルチャーが前提にあります。一方で私たちはアパレル産業に所有しない選択肢を作り、その仕組みを見える化して伝えていくことで、消費者側に気付きと、リテラシーを与えたい思っています。

理想から逆算の仕組みづくり

ー現在のサーキュラーエコノミーをどのように形成しましたか。

山本氏 (株式会社Rinnovation代表)

資源が限られている中で作るだけ、売るだけではなく、循環させるということを答えから逆算していった結果、おのずと現在の仕組みが出来上がりました。製品寿命を延ばすためのシェアリングする・回収する・リペアするという方針や、炭にして土壌活性に活用する、という大枠は「作って売るだけではなく循環させる」という目的から実現したいことを考えた結果、出来上がったのです。各工程で環境負荷を減らす取り組みやよりいいものを作るためにまだまだ課題はありますが、これまでもやりたいことを描き、その想いに共感してくださる各社へ相談、連携することでイメージを実現してきました。みなさんが私たちのサトウキビへの思いや、可能性を感じてくれたからこそできたことだと思っています。水質汚染や労働環境など、アパレル業界の問題に対して、今は大丈夫だと思っていますが基準が高くなったときにクリアしているかは常に意識していきたいです。そのために他の企業様と連携共有しながらよりよいフェーズにいくことができれば理想的だなと思います。

問題意識が生む広がりと深まり

ーかりゆしウェアを通して広めたい思い

山本氏 (株式会社Rinnovation代表)

かりゆしは1つの重要なアイテムではありますが、当然それだけで問題が解決できるとは思っていません。沖縄で作り出した私たちの素材やビジネスモデルをより世界に発信していきたいです。もちろん日本というマーケットはありますが、日本ではまだ環境にお金を投資する意識が消費者にないため、より浸透させていくと同時に、ビジネスとして持続的にやっていくためにマーケットを海外にもスケールアップできると嬉しいですね。
今後は「衣食住」という人が生きていくために必要な要素に対して、「衣」の枠組みを超えて、バガスを応用したものを展開することで横への広がりを作っていきたいです。かりゆしの話に限ると、サプライチェーンを見える化することで、観光客がかりゆしの職人さんとつながったり、サトウキビ農家さんで収穫体験をしたり、服を借りるだけではなく、より深く沖縄を知ってもらう観光の体験を豊かにできる仕組みを作っていけるのではと思っています。これからは事業を展開していく中で、ファション性を高めたり、コラボレーションの可能性も追求していけたらと思っています。

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