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認定製品インタビュー
「ZERO PC」
認定製品インタビュー「ZERO PC」

「ZERO PC」は、環境負荷ゼロを目指すと共に、製造の過程でも「難民」という問題に取り組んでいる製品であることが評価され、CHOICE! ZERO WASTE AWARD2021 の認定製品となりました。今回はピープルポート株式会社代表の青山様に製品の生まれた背景やゼロウェイストへのこだわり、広めたい想いについてお話を聞かせていただきました。

「環境問題は無視できない」と覚悟を示した

-改めてこの製品が生まれた背景や想いをお聞かせください。

青山氏 (ピープルポート株式会社 代表)

もともと紛争問題に関心があり、日本にも難民という立場で避難してきている人たちがいて、なんとか力になれないかと思い創業しました。事業をつくる時に、大きく3つのことを考慮しました。ひとつめは、基本的に避難している人たちは日本語が話せないので、日本語が話せなくても事業の主軸として活躍できる事業であることです。ふたつめは、技術が身につくもの。避難している人たちが国に帰ったときに、すぐに生計が立てられることを考えました。最後に、日本の課題に対して貢献することです。未だ難民はネガティブなイメージを持たれていたり、あまり関心を持っていただけないことがあります。そういった難民に対する見方を、ありがとうという言葉を集めることによって変えていけるのではないかと思っています。以上の3つを踏まえて、見つけたキーワードが都市鉱山です。都市鉱山は、廃棄されたり、家庭で眠ってしまっている電子機器の中には希少金属が大量に含まれていることをいいます。最初は、そういった電子機器を集めて、リサイクルをしようと思っていました。分解なら言語も必要なく、電子機器はどの国にもあるから、学んだことをどこでも活かすことができる。実際に始める前は、リサイクルが99%くらいで、再利用できるものが1%くらいあればラッキーくらいだろうと想像していたんです。しかし、いざ集め出してみたら、現実は全く違っていました。リサイクルが70%、リユースできるのが30%くらいあったんです。これは、リサイクルするのももったいない。あるものをできるだけ生かしたまま使う、リユースの方がいいと思ったのが再生事業へ舵を切るきっかけになりました。

-ZERO PC は2020年にリブランディングしたそうですね。

青山氏 (ピープルポート株式会社 代表)

はい、自分たちの覚悟を示すためのリブランディングでした。パソコン一本で再生事業やろうと決め、改めて自分たちが扱っているパソコンはどのくらい環境負荷がかかっているのか調べました。二酸化炭素は、製造のときに一番排出されます。メーカによって数値は違うのですが、製造での二酸化炭素排出量は300キログラム相当。また、半導体の洗浄などで、水を大量に使用するんですね。少なくても1台につき、およそ7万リットル。鉱物を採掘するために、森を切って、ダムをつくるという上流までさかのぼると、19万リットルというデータも出ているんです。さらに鉱物の中には、武装勢力の資金源になっている紛争鉱物も混ざっています。恥ずかしながら、人と環境への悪影響を改めて知りました。私たちは難民問題に関わっているけれど、環境問題は全人類関わっています。さらに、間伐、水害によって故郷を追われる環境難民も出始めています。難民という立場の仲間と事業をやる上で環境問題は絶対に無視できない。環境と難民、この2つのZEROを目指そうという覚悟を表に出しました。

ビジネスは社会をよくするための手段

本アワードは現代社会が抱える大量生産・大量消費、そして大量廃棄の問題を「捨てる」という行為から見直すため「捨てない」ためのアイデアを形にした商品やサービスを選択し、ゼロ・ウェイストな社会をみんなで目指していこうというのがプロジェクトの趣旨です。

審査基準には、大きく分けて原材料の循環性、生産の持続性、日々の暮らしへの浸透性の3つがあります。その上で、「透明性」への意識と、製品自体の回収、再生する仕組みが重視されています。
特にZERO PCは、環境への負荷ゼロを目指すエシカルパソコンとして、廃棄されたパソコンを回収し、修理可能な製品は中身を入れ替えて販売、使えなくなった部品までもすべてリサイクルを行っている点が評価されました。

-本アワードの審査基準で重要な評価基準になりました、ゼロウエイストへのこだわりを改めてお聞かせください。

青山氏 (ピープルポート株式会社 代表)

まず元々の思想が「人や、環境・地球にとっていいかどうか」というところが出発点です。なにかを犠牲にして儲けるようなことは、前提としてありません。あくまで社会を良くする手段として、ビジネスがあると考えています。そのため、回収まで含めたビジネスモデルは、始めから構想に組み込まれていました。

ひとつ目のこだわりとして、原材料として引き取ってくるパソコンは、故障していても、動かなくなっていてもどんな状態でも全て引き取るということです。単純な中古品の買取・販売との違いでもあります。もうひとつのこだわりは、透明性です。ここは課題でもあるのですが、分解してリサイクルにあてた資源がどう使われているのか、全て追い切れていない現状があります。原材料に関しても、自社で監修するものはわかっているのですが、製造会社がどういうルートで仕入れてきて、どうやって作っているのかまではまだ追えていません。パソコンメーカーの金属素材は、分解すると数百の部品に分かれていて、その仕入れ先に関しても製造企業の8割が「答えられない(あるいはわからない)」と回答しているのが現状です。ここを調べ上げるには、とてつもない労力がかかるので、時間をかけてひとつひとつ、追っていかなければと感じています。

未来に対して重みがある若い世代が声をあげる

-ゼロウェイストな選択肢を増やすために、「作る責任」「使う責任」についてお聞かせください。

青山氏 (ピープルポート株式会社 代表)

使い捨てで儲けるビジネスモデルからは脱却しなければいけないと思います。既存のやり方は楽なので維持したいと思うけれど、次の世代のことを考えるとこのビジネスモデルは絶対に続かないですよね。ここは、若い世代の人がより気持ちがこもって取り組める部分じゃないかなと思います。今のままでどうリスクを取らずに逃げ切れるかではなく、次の世代に引き継いでいく未来として使い捨ての設計でいいのか、我々若い世代が声を上げていかなければいけないと思います。

「使う責任」については、大きく2つあるかなと思います。ひとつは、意識の問題。小さな話ですが、スーパーでゴミ袋をもらうか、あるいはマイバック、裸で商品を持って帰るか、そういった意識を持つことはすごく重要です。では、どうやったら意識を持ちやすくなるかというと、自分の行動で次何が起こるか、背景や次にあることをイメージして思いやれるかどうかだと思います。そのため、「パソコンってどうやって作られているか知っていますか?」という背景を知るプロジェクトを行なっています。人の意識を変えるには時間がかかるので、伝え方の工夫が必要になります。古着よりもヴィンテージという言葉の方がかっこよくて買いたくなるように、中古パソコンではなく、エシカルパソコンという新たな価値を提唱することで、今まで買わなった人たちが買いたくなる導線をつくっていくことが大切だと考えています。

環境に興味がない人にこそ届けたい

-ZERO PCを通して広めたい想い

青山氏 (ピープルポート株式会社 代表)

難民という課題に対しての思いもあるので、両方をひっくるめて“多文化共生”を作っていきたいです。「パソコンは新品だよね」というひとつの価値観ではなく、「人に配慮しているものっていいよね」「再生品っていいよね」といういろんな価値観を増やしていくことで、ものの寿命は伸びると思っています。人においても、マイノリティーに対しての理解がある。そういう社会を作っていきたいです。こういった文脈でいうとむしろ、全くエシカルやサステナブルを意識してない人にこそ、この製品を選んで欲しいと思っています。全くそういった意識をしていない人たちが、この製品をきっかけに、社会課題に対しての気づきを得てもらえたらとても嬉しい。多くの人に提供できるパソコンという製品を通じて事業をやっている存在意義は、消費者の人たちに対して「あ、環境って今こういうことになっているんだ」「地球にはこんな人たちがいるんだ」というような気づきを得てもらうことだと思っています。私たちは、ビジネスとしてプロダクトを持っていることで社会課題に接点を持っているんです。そこに価値提供できる強みをいかしていきたいと思っています。

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